2011-06-27

【日経一面企業分析】三菱UFJFG[8306]

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大手銀行がアジアや中南米など新興国向けの融資を拡大している。
◆ 記事への素朴な疑問

メガバンク各社が成長余地の高い国々に資金提供していき、収益機会を得ようとしています、というニュースです。金融機関といえばバーゼルの問題など自己資本規制の話題もあります。

そもそも、メガバンクはどこに投資しているのでしょうか?
そして、メガバンクで新興国投資へのスタンスの違いはあるのでしょうか?

以下、三菱UFJFG(8306)の財務状況を中心に分析します。


◆ 損益計算書の視点
三菱UFJFG[8306]のPL(2006-2011)

2011年の経常収益(≒売上)は4.5兆円ほど、同じく経常利益は6,400億円ほど。収益性という意味ではあまり芳しくはありません。

リーマンショック以前から収益規模、という意味では右肩下がりになっています。一方、収益性は改善傾向にあるようです。


◆ キャッシュフローの視点

三菱UFJFG[8306]のキャッシュフロー(2006-2011)

金融業のキャッシュフローは少し特殊なので参考程度にご覧ください。

ポイントは投資キャッシュフローの水準がここ3年大きくなっていること。こちらは、有価証券の取得を進めていることによるものです。資産の切り替えを進めていることが窺えます。

それでは、B/Sにはどんな変化が現れているのでしょうか?


◆ バランスシートの視点
三菱UFJFG[8306]のBS(2011)
メガバンクはどこに投資しているのでしょうか?この問いに銀行答えるためにBSを見ていくことにしましょう。


と、その前に銀行のビジネスを考えてみましょう。それは私たち預金者から集めた預金を誰かに貸し付けて、利息を取るビジネス・・・。といったような牧歌的なビジネスモデルではありません。銀行は貸付たお金を担保にしてさらに貸付を行い、そこからさらに利息を取る。いわゆる「信用創造」というやつで収益の拡大を図っているのです。そんな雪だるま方式のモデルはけしからん!ということで自己資本規制という足かせがはめられているわけです。

銀行は資産も負債も、すべて貸出を作り出すための土台として考えることになります。ですので、有利子負債がいくら、というようには見ません。つまり、事業会社のように事業用資産・余剰資産といった切り分けをしないということです。
シェアーズでは貸付金・有価証券などを合わせて「棚卸資産」としてグラフにしています。棚卸資産の総額はここ2年、186兆円で変わっていません。しかし、その構成を見ると変化が見られます。直近の決算を見ると、棚卸資産のうち有価証券が71.0兆(前年比+7.1兆)、これに対し貸出金は79.9兆(同▲4.9兆)。有価証券を増やし、貸出金を減らしています。

両者の違いはざっくり、有価証券がハイリスク・ハイリターン、貸出金がローリスク・ローリターンの投資ということが出来ます。三菱UFJは有価証券の比率を高めており、よりリスクの高い投資を進めているということでしょうか?今回の記事にあった新興国向けの融資は貸出金によるものです。とすると、「有価証券を増やして、貸出金を減らす」というトレンドとは逆の動きをしていることになります。これは私見ですが、そもそものリスクの高い新興国に対しては、全体としてのリスクを抑えるためにリスクの低い貸出金での投資を、と考えているのかも知れません。また、同時に現金等が10.4兆(同+3.0兆)も増えています。余裕資産を増やしているのかもしれません。

・・・が、よくよくみると有価証券の内訳は国債が44.9兆、ここ半年で5.2兆増えています。ローリスク・ローリターン(棒)な投資先として国債を買い支えている、というのが正解でした。


◆ 「素朴な疑問」への回答は?

三井住友FG・みずほFGも同様に貸出金を減らして、有価証券(というか国債)を増やすという動きをしていました。さて、疑問の2つ目「新興国投資へのスタンスの違いはあるか?」はどうでしょうか。

各社の総貸出金に占める対アジア・中南米の割合をグラフにしてみました。以下、三菱UFJ、三井住友、みずほのグラフになります。

三菱UFJFG[8306]の対新興国貸付金残高&貸付金総額に占める割合(単位:億円)
三井住友FG[8316]の対新興国貸付金残高&貸付金総額に占める割合(単位:億円)
みずほFG[8411]の対新興国貸付金残高&貸付金総額に占める割合*(単位:億円)
*みずほFGは、新聞市場にある数値を拾えなかったためみずほコーポレート銀行の数値を引用している。
5.1兆円だとすると同比率は「8.1%」となる。
(出所:各社決算説明資料等)
金額ベースで行くと三菱UFJが5.3兆円(前年比+1.1兆円)、三井住友が3.5兆円(同+4500億円)、みずほが4.1兆円(同+1.6兆円)。みずほの伸びが目立ちます。

貸出金総額に占める割合は各行とも上昇傾向にあるものの、7%を下回っています。貸出金の水準自体が縮小傾向にあることを考えると、新興国は規模の面ではまだまだですが、やはり成長分野と考えられているようです。この中で、三井住友は比率そのものが5.8%と他行に比べて低く、遅れをとっているようです(はたまた消極的なのか?)。

今最後に個人的に各社の決算説明資料の見やすさをランキング
三菱UFJ>三井住友>>>>>みずほFG。みずほは細かい数字が追えず、とっても見づらかったです。有価証券報告書は3社の中で一番早く出している会社なのに残念です。





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