日立製作所と三菱重工業は経営統合へ向け協議を始めることで基本合意した。
◆ 記事への素朴な疑問
今週の日経一面はこの記事でしょうがないでしょう。日経が日立と三菱重工の統合をすっぱ抜いちゃいましたという記事です。あんなに大きいフォントは久々に見ました。さて、この記事に対し、日立が「本日の一部報道について」とテンプレ的な回答を示したのに対し、三菱重工側の対応は温度が異なっています。今はHP上にはないのですが三菱重工のコメントを引用します。
今週の日経一面はこの記事でしょうがないでしょう。日経が日立と三菱重工の統合をすっぱ抜いちゃいましたという記事です。あんなに大きいフォントは久々に見ました。さて、この記事に対し、日立が「本日の一部報道について」とテンプレ的な回答を示したのに対し、三菱重工側の対応は温度が異なっています。今はHP上にはないのですが三菱重工のコメントを引用します。
「当社(=三菱重工)と日立製作所との統合に関する報道が引き続きなされておりますが、既に当社からお知らせしておりますように、これは当社のの発表に基づくものではなく、また報道された統合について合意する予定もありません。にもかかわらず、統合について合意する予定があるかのような誤った報道がなされることは、当社及び関係者にとって極めて遺憾であります。当社としては、これら一連の報道が当社の発表に基づく正確なものではないことを改めてお知らせいたしますと共に、このような報道については断固抗議してまいります。」
「引き続き~」とあるように日経は三菱重工が4日朝に統合を否定した後もすごい勢いで記事を出しています。翌5日には『「日立・三菱重」統合を産業再興の一歩に 』などと社説までうっているほどです。日経新聞いいかげんにしろよ・・・という三菱重工の声が行間からひしひしと伝わってきます。
さて、そんな日立・三菱重工の財務はどうなっているのでしょうか?
また、今後の事業・経営統合の行方はどうなっていくのでしょうか?
以下、日立・三菱重工について比較していきます。なお、日立の財務の詳細は『日立も液晶統合に合流 東芝・ソニーと新会社(2011/06/30)』で扱っています。こちらは現時点では統合の成功事例として読むことができます、今回のエントリーとの違いも際立っています。ぜひご覧になってください。
◆ 損益計算書の視点
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| 日立[6501]と三菱重工[7011]のPL(2002-2011) |
◆ セグメント別の状況の視点
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日立[6501]と三菱重工[7011]のセグメント売上(単位:億円)(2011) |
日立は様々な事業セグメントを持っています。個々の説明は省略しますが、まさしくコングロマリットといった具合です。GEと合弁した原子力発電関連は電力システムセグメントに含まれます。
これに対し、三菱重工は見慣れない単語が多く見られます。原動機にはボイラーやタービンさらに仏アレバと提携している原子力周辺装置が入ってきます。機械・鉄構(こんな単語はじめてみました)は各種プラント。さらに、航空・宇宙には航空機等のほか軍事関連も含まれています。
上記のセグメントのうち、今回統合が検討されているという「社会インフラ事業」関連をオレンジ色で示してみました。
すると日立1.9兆円、三菱重工1.6兆円となり全社レベル(9.3兆:2.9兆)で大きく開いていたのとは随分違った景色が見えてくるのではないでしょうか?さて、売上の次は利益を見ていくことにしましょう。
◆ 経営統合?とんでもない!
日立[6501]と三菱重工[7011]のセグメント営業利益(単位:億円)(2011) |
上記は各セグメントごとの営業利益バージョンです。
日立は様々なセグメントからまんべんなく利益を上げていることがわかります。社会産業システム、電力システムはその他大勢の一つといった位置づけです。
一方の三菱重工にとっては原動機、機械・鉄構はまさに主力、利益率・利益額でいっても日立を上回っています。かかる状況で経営統合したとしても三菱重工側にメリットが大きいようには思えません。また、原子力発電に関しても両社は採用してる方法、そして現時点での協業先が異なっています。単純に一緒になったからといって「総合力が上がる」などとはいえないように思います。
◆ バランスシートの視点
◆ バランスシートの視点
さて、コングロマリットな日立と「重工業」な三菱重工、そのバランスシートにはどんな違いがあるのでしょうか?
◆ 「素朴な疑問」への回答は?
各セグメントの位置づけを見ると、今回の経営統合は難しいように思います。三菱重工としてはその他大勢に取り込まれてしまうことになるからです。まして、交渉でこんなゴタゴタがあったのですから・・・
しかし、両社は「事業統合」については進めてきた経緯があります。古くは2000年、両社の製鉄部門を統合して設立された三菱日立製鉄機械(筆頭株主は三菱重工)、その売上はリクナビによれば906億円(2009年度)、従業員数は448名(2010年10月)。両社の規模からすればあくまで傍流といったところでしょう。
また、2010年6月には海外向けの鉄道システム事業で協業することを合意しています。さらに、今回のごたごたの最中にも三菱電機を含めた3で社の水力発電システム事業の統合契約を承認した旨のプレスリリースを出しています(発表自体は3月30日)。
これら、事業統合レベルであれば、各社の連携が強まっています。今回の報道も、「社会インフラ事業」のうち、特定部門の「事業統合」を進めようというのが発端だったのかもしれません。それが全社レベルの「経営統合」という風に報道され、三菱重工側は過剰反応を起こすことに・・・
一般に、経営統合が進むのは業界が危機に瀕したときと言われます。3.11の影響で原発事業の先行きが不透明とはいえ、短期的な収益性には陰りが見られません。両社の危機意識が高まるのはどのタイミングなのでしょうか?
しかし、両社は「事業統合」については進めてきた経緯があります。古くは2000年、両社の製鉄部門を統合して設立された三菱日立製鉄機械(筆頭株主は三菱重工)、その売上はリクナビによれば906億円(2009年度)、従業員数は448名(2010年10月)。両社の規模からすればあくまで傍流といったところでしょう。
また、2010年6月には海外向けの鉄道システム事業で協業することを合意しています。さらに、今回のごたごたの最中にも三菱電機を含めた3で社の水力発電システム事業の統合契約を承認した旨のプレスリリースを出しています(発表自体は3月30日)。
これら、事業統合レベルであれば、各社の連携が強まっています。今回の報道も、「社会インフラ事業」のうち、特定部門の「事業統合」を進めようというのが発端だったのかもしれません。それが全社レベルの「経営統合」という風に報道され、三菱重工側は過剰反応を起こすことに・・・
一般に、経営統合が進むのは業界が危機に瀕したときと言われます。3.11の影響で原発事業の先行きが不透明とはいえ、短期的な収益性には陰りが見られません。両社の危機意識が高まるのはどのタイミングなのでしょうか?




