売上高は前年同期を上回ったものの、活字離れの影響や広告費の減少で厳しい環境が続いているほか、 建替関連損失引当金繰入額として43億6500万円の特別損失を計上したことなどから、営業損益・純損益とも前年同期に対し赤字転落となりました(太線部は筆者追加)
やっぱ新聞はオワコン!(終わったコンテンツ、の意)なのでしょうか?
まぁ、ちょっと待ってください。
この記事だけだと一過性のものなのか?どんな傾向にあるのか?はたまた他の会社はどうなのか?よくわかりません。
ということで、ちょっと調べてみることにしました。比較対象として日経新聞社、毎日新聞社をとりあげます。なお、朝日・毎日が3月決算、日経が12月決算なため、日経の12月本決算を翌年3月決算とみなして比較してます。
◆ PLからみた各新聞社の特徴は?
まずは各社の売上を見ていくことにしましょう。
各社の売上はおおむね右肩下がり。2002年からの10年間で朝日が▲22.4%、日経が▲27.8%、そして毎日は▲17.7%。
毎日が低空ホバリングに成功してるとも言えますが、かなりしんどいものがありますね。これだけみるとオワコン感が漂います・・・。
売上が各社ダウントレンドだったのに対し、営業利益では異なった動きを見せてますねー。特に目立つのは日経、売上減にもかかわらず利益は上向き、どうやらコスト削減に成功していた模様です。
しかし、2010年朝日・日経とも売上減に伴い営業利益段階で赤字に転落してしまいました。これは本業で稼げていないことを意味し、危ういサインといえます。そして、ここでも毎日の粘りの利益捻出が光ります。
おおむね営業利益と似たような動きをしています。朝日は09・10年と連続して最終赤字に陥っていたのがわかります(グレーの点線で囲った部分)。 んー、なるほど。
◆ 新聞社の売上方程式を考えてみる
さて、新聞社の業績をざっくり見てきたわけですが、それにしても新聞の売上ってそんなに急に減るもんでしょうか?
ここで、新聞社の売上決定メカニズムを考えてみましょう。
新聞社の売上 = ①販売収入 + ②広告収入 + ③その他
①販売収入は新聞・雑誌がどれだけ売れたか?これは読者数×単価で決まります。次に、②広告収入は、出稿数×広告単価で決まります。③その他は・・・ちょっと放置しておきましょう。
それぞれに分けてみていくことで、新聞社のホントの姿が見えてきます。
◆ 「朝刊のみ」の発行部数は増え続けている!?
まず、読者数×単価で決まる①販売収入の推移です。
新聞の単価ってあんま変わってない気がするので、ここでは読者数をターゲットにします。こちらは押し紙だの何だの信頼性のほどはわかりませんが新聞協会が出しているデータ「新聞の発行部数と世帯数の推移」が参考になりそうです(なお、こちらのデータは各年10月のものだそうです)。1999年から10年間の増減を見てみましょう。
朝刊夕刊セットが▲19.0%、夕刊のみが▲32.6%と発行部数を減らしています。これに対し、一番のボリュームゾーンである朝刊のみは+2.1%と純増しています。直感的には朝刊夕刊セットの顧客が朝刊のみに流れてきていることが予想できそうです。
3つを合計した発行部数全体では▲6.0%。いくら単価の高い朝刊夕刊セットが減ったからといって読者数の減少だけで20%を超える売上減を説明するのは難しそうです。
◆ 新聞は広告主にとってオワコンだった?
次に「新聞の総売上高の推移」で②広告収入の推移を見てみましょう(はじめからこのデータを出せよ、というツッコミはお受けします)。
なお、下記のグラフの年は暦年(1月-12月)ではなく、年度(4月-3月)とのことです。こちらは2002年から7年間の推移です。
販売収入が▲3.4%なのに対し、広告収入は▲26.6%と大幅減(そしてなぜか「その他」の収入が増えています・・・、何でしょうか?)。
総売上のトレンドと個別企業のトレンドが必ずしも一致するとは限りませんが、大きく外していることもないはずです(詳細に調べるのであれば、各紙の発行部数の推移と価格を調べればおkです)。
ともかく、各社の売上減は新聞の媒体価値が下がったことによる、広告収入の低下が大きな要因といえそうです。
新聞は、読者にとってオワコンというよりはむしろ、広告主にとってオワコンだったのです。
◆ 主たる事業は不動産・・・?
最後に③その他、については朝日新聞の事業ごとの利益をピックアップします。
朝日新聞は①販売収入、②広告収入の細目を出していないため、①と②の合計を新聞出版と読み替えてください。
朝日新聞全体の営業利益は2010年に赤字に転落した後、2011年に急回復していました。たしかに新聞出版の回復も大きいのですが、「その他」部門の上積みされたことの影響も大きくなっています。
そして、「その他」の正体とは・・・不動産の賃貸事業です。
歴史ある企業が、かつての主要事業で稼げなくなり、不動産に依存する、という構造はよくみられるものですね・・・(赤坂のTV局とか)。
◆ 日経は削った。朝日はどうする?
これまでは歴史的経緯を見てきました。最後に直近の業績比較ということで、朝日(2011年9月決算)と日経(2011年6月決算)を比べてみましょう。
朝日新聞社
売上:2,296億円(前年比+0.4%)
営業利益:▲1億(赤字転落!)
純利益:▲19億(赤字転落)
日本経済新聞社
売上:1,423億円(前年比▲5.7%)
営業利益:52億(前年比+2.1%)
純利益:39億(前年比51.1%)
日経は減収にもかかわらず、増益となっています。これはコスト削減によるものです(まぁ、人員削減なのですが・・・)。はたして、朝日はどうするのでしょうか?
減少する広告収入、これは新聞というメディアの特性上避けられない事のように思います。
発行部数の推移でみたように、新聞には一定の読者層がついています。この点、オワコンといってしまうのは早計でしょう。新聞の媒体価値をいかに上昇させるか?そしてコストをどうコントロールするか?
はてさて
